称名寺へようこそ

富山県小矢部市 真宗大谷派 称名寺のブログ

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ほうきんの実

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今年の報恩講のお斎に、なつかしの味「ほうきんのよごし」が並び、お参りの方々にとても喜ばれました。
「ほうきんのよごし」とは、ほうきんの実の胡麻和えのこと、とんぶりとも言います。プチプチとした食感と胡麻味噌の甘辛い味が炊きたてのごはんに良く合います。
小さな黒い粒の見た目から、畑のキャビアとも呼ばれていますが、作ったことのある人から聞くと、栽培や収穫、特に実を外すのに手間がかかるそうで、とても貴重なものという意味でも畑のキャビア、と言われているのでしょう。
近年はなかなか手に入らなくなったこともあり、お寺ではずっと「ほうきんのよごし」を出すことはありませんでした。幼い頃に食べたおいしさが忘れられず、いつか作ってみたいなぁと思っていたところ、隣の街のお寺の坊守さんから「作る練習をしてみたら」と、ほうきんの実を分けていただきました。ほうきんの実を食べられるようにするには、洗って茹でて、そのから数日の間、水に浸けておかなくてはなりません。何度も水も取り替えたりするので、食べられるようになるまでに手がかかるものなのです。
そのほうきんの実を分けていただいた後に、また別の方からほうきんの実をいただくことになりました。お寺の報恩講に合わせた時期に準備して届けますよということで、お参りの皆さんにお出しできることになり、とてもうれしく思いました。
こうして次々とほうきんの実とのご縁が巡ってきたことを、不思議なことだなぁと思いながら、ありがたくいただきました。
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お寺の報恩講にどうぞと、ほうきんの実を分けてくださったのは、高岡の北村さんという方で、この写真の資料も北村さんからいただきました。ほうきんは秋になると紅葉するのですね。実をとった後の枝はほうきになるので、「ほうきの木」が変化して「ほうきん」と呼ばれるようになったそうです。
北村さんから「食は人を良くすること、ほうきんは実は報恩講のお斎になって、食べる人を和やかにし、枝はほうきになってお御堂や境内をきれいにする。ほうきんは全身で仏法を伝えている。仏法を伝えるためにこの世に現れたような植物です。『ほうき』の『ほう』は仏法の『法』、『ほうき』の『き』は人間を表す『機』、法と機が1つになって、ますます教えが深まっていくのです。」とお聞きしました。そして、ほうきんの実をとった後の枝で作ったほうきも分けていただきました。とてもうつくしく、しなやかなほうきなので、今年の本堂の大掃除に使わせてもらうことにしました。
思いがけないご縁で、ほうきんのよごしをいただくことができた今年の報恩講、お参りの皆さんに「おいしいねぇ」「めずらしいねぇ」「なつかしいねぇ」と喜んでもらえたことが何よりうれしいことでした。ありがとうございました。
次回のブログは、北村さん作のほうきについて書こうと思います。