称名寺へようこそ
ブロク訪問ありがとうございます。
6月になりました。
今日は青空の爽やかな朝を迎えました。
一年の半分は曇り夜、または雨か雪の北陸に住んでいると、青空はとてもうれしいものです。
しばらく前のこと、お寺の敷地の片隅にある木に白くかわいらしい花が咲きました。
花の名前、グーグルレンズで調べて見ると…エゴノキと言うそうです。空から降ってくるような可憐な花、しばらく楽しめるなぁとよろこんでいたところ、激しい雷雨に遇いすぐに散ってしまいました。
散ってしまった花びらを眺めながら、ふと
「花びらは散っても 花は散らない」
という言葉を思い出しました。
この言葉は金子大栄先生の遺されたもの。金子大栄先生は『歎異抄』の意訳をなさった方で、本屋さんに行って岩波文庫の『歎異抄』を手に取れば、金子大栄先生の名前が記されてあります。
花びらは散っても花は散らない―その心は、形のあるものはいつか消えていってしまうけれども、その存在はいつまでも消えない、ということなのでしょう。
雨風に遇い花びらは散ってしまっても、確かに花は美しく咲いていた。心の中にその記憶は刻まれていて、思い出すたびに甦ってきます。
人間の存在も花と同じ、思いがけない事故や病に遇ったり、また無事に長生きしても、いつかは必ず滅する身を生きています。そんなことはよく分かっていると思っていても、実際に大切な人を亡くせば身を切られるように苦しく悲しいものです。
けれども、姿形はなくなってしまっても、その存在を思い出すたびに、笑顔や言葉、存在そのもののぬくもりが甦ってきて、出会い続けていくことはできます。そのような営みが人の心を耕し、人間の幅を広げてくれるのではないでしょうか。
なんまんだぶつ
またお会いしましょう。