称名寺へようこそ

富山県小矢部市 真宗大谷派 称名寺のブログ

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どこから来てどこへ行くの?

称名寺へようこそ
ブログ訪問ありがとうございます。

北陸も梅雨入りしました。梅雨入りしてもよく晴れた日が続いていましたが、今日は午後から雨が振り始めました。こんなお天気の日は、チーコを膝に載せてブログを書くことにしようと、久しぶりの投稿です。


しばらく前のことになりますが、
「小クワガタがいるよ」
と副住職が言うので部屋を覗いてみると…

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畳の上にポツンと小さなクワガタがいます。
どこからやって来たのか、不思議に思って

「クワガタさんよ、いったいどこから来たの?これからどこへ行くの?」

と、小さなクワガタに尋ねてみました。
もちろん返事はありません。

「どこから来て、どこへ行くの?」そうクワガタに問いかけながら、自分だって生まれる前のことはわからないし、気がついてみたら今ここにこうしているだけなのに偉そうなことを言ってしまった…と思いました。

仏教ではどのように教えられていただろうか、親鸞さまはどうおっしゃっていらしただろうか…と、あらためて副住職に尋ねて、お聖教を開いてみました。

親鸞さまの書かれた『愚禿鈔』というお書物の中に、善導大師さまのお言葉が引かれています。


自身は現にこれ罪悪生死の凡夫、曠劫より已来(このかた)常に没し常に流転して出離の縁あることなし

かの阿弥陀仏四十八願衆生を接受したまう、疑いなく慮りなくかの願力に乗ずれば定んで往生を得る


阿弥陀仏の本願を疑って、人を傷つけ、自らもまた傷つけ生きる者よ、はるか昔からこれまで迷いに迷って生きてきて助かる縁のない身であることを知りなさい。阿弥陀仏の四十八の願は衆生を必ず救います、疑うことなくためらうことなくその願力に乗ずれば、必ず阿弥陀仏の浄土に往生することを得るでしょう。


何度も何度も聞かせてもらったお言葉ですが、小さなクワガタとの出遇いによってまた聞かせていただくことになりました。真っ暗な迷いの海に浮き沈みしながら、流れ流され生きている自身の身と、そのような者を決して見捨てない阿弥陀仏の本願のはたらきに遇えば必ず阿弥陀仏の浄土に往生できるということをあらためていただき直します。

迷いながら傷つけ傷ついて生きてきたものが阿弥陀仏の呼びかけに出遇うとき、それはまるで真っ暗な部屋の中に一筋の光が射し込んでくるようなもの。痛ましい自身に生きざまに気がつき、阿弥陀仏はそのような者を浄土に救いとって、この上ない仏にしようと願ってくださっていることを知れば、どこから来てどこへ行くものなのかということがはっきりしてくるようです。

人間に生まれてきたということは、この身を通して仏法を聞かせていただく貴いご縁をいただいたということなのではないでしょうか。


なんまんだぶつ
またお会いしましょう。