称名寺のお座
「お座」という言葉を耳にしたことはありますか?もしかしたら「法座」というとピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。法話を聞ける「場」のことを「お座」または「法座」といいます。明治20年代後半にお座を開くことが許されてから、称名寺では1年365日ほぼ毎日お座がありました。朝の8時と昼の2時からお勤めの後に法話があり、当時はお座の合間に歩いて家まで戻り田畑の水やりをしていた方もあったそうです。明治から昭和30年代にかけて、砺波地方にはいつでも法話を聞けるお寺がたくさんありました。
昭和の砺波野の人々の暮らし
お寺参りの盛んだった昭和20年代頃、砺波地方の常設布教をしているお寺では、冬にお寺が満堂になることもあるほど人が集まっていたそうです。11月には田んぼの仕事も終わり、テレビもない時代ですから長い冬の間に仏法聴聞をして過ごしていたのでしょう。こういった場で顔を合わせている親同士で縁談になることもあったそうです。寒くても活気に満ちた本堂の様子を想像してみると、人々のさざめき合う声が今でも聞こえてくるように思われます。
わたしたちのお講を!— 親鸞講の誕生 —
昭和30年の半ばに差し掛かるころ、称名寺のお座にお参りされる人の中から「わたしたちのお講(仲間のお座)をしたい」という声が上がりました。皆さんの熱意に押されるように、昭和35年2月28日に親鸞講が誕生しました。はじめは毎日お座がある中の1日、毎月28日の親鸞聖人のご命日を親鸞講の日としていました。お講の日ごとに煮炊きをしてあたたかい昼食を準備し、お正月には福引をして盛り上がり、井波別院の輪番さんから頼まれて別院の清掃奉仕へ行くために団体でバスを利用してからは、バス旅行もするようになりました。仏法聴聞はもちろんのこと、仲間と楽しく過ごすことも大切にしていたようです。