称名寺へようこそ!
ブログ訪問ありがとうございます。
こちら今朝は秋晴れの美しい日を迎えております。そちらのご様子はいかがですか?
昨夜、お参りに伺っているお宅から
「一晩だけ咲く美しい花が開いたよ」と、
お知らせをいただいて、副住職と一緒に夜の散歩に出かけました。
一晩だけ咲く美しい花とは「月下美人」のこと。
子どもの頃、その花の名前と、一晩だけしか咲かないという神秘的な話を聞いて「一度見てみたい!」と思っていましたが、何十年も経って、その願いも忘れた頃に思いがけない知らせでした。
慌ただしく準備をして一歩外に出てから、メガネを忘れてはいけないと思い出し立ち止まりましたが、出掛けに手に取ったはずのメガネをどうしたのかわかりません。なかなか見られない花を見るのに、メガネがなければ困ります。そのことを副住職に伝えると、「そこにあるよ」の返事。そうです、忘れないようにシャツの襟元に引っ掛けていたのでした…
一番近いところにあるのに見えない、忘れている、そういえば、学生時代にこんな話を聞いたことがあります。
あるお経に、人間が生まれる前に、仏さまが一人一人の衣服の裾に宝物を縫い付けてくださいました、とあります。しかし悲しいことに、人はそれを忘れて、宝物に気づかずに生きているというのです。それならば、自分に与えられた宝ってなんだろう?と、ぼんやり考えていたことを思い出しました。
メガネもみつかって、ホッとしながら暗い道を歩いていくと、訪ねるお宅に明かりが灯っています。中に入ると、そこには初めて見る「月下美人」が咲いていました。
これまでは写真でしか見たことがなかったのですが、実際に見ると存在感が際立っていて、花びらが四方八方に開いいる様子や、花の真ん中は白く外の方は紅色になっていて、色の変化も美しく、そして香りもよいことが分かって、いつまでも見ていたくなる花でした。
こんなに美しいのに、一晩だけしか咲かないなんて…不思議であり、なんだか少しさみしくも感じましたが、出遇えてよかったなぁと思いました。
「月下美人」に出遇うまで、私は何十年もかかりましたが、仏の教えに出遇うのには、もっともっと時間がかかるとお聞きしています。
それはたとえて言うなら「優曇華」(うどんげ)の花の咲くのに遇うのと同じくらい難しい、とお経にあります。優曇華は三千年に一度しか咲かない花。それほど仏の教えに出遇うことは稀なことなのです。
我々は、この人間界に生まれてきた訳をまったく忘れて生きていますが、この度はこそは仏の教えに出遇って、深い深い迷いの生を超えていきたいと願っている、そしてやっと教えに巡り遇えた、そのような時を待つ存在のように思われます。
あなたは人間に生まれてきたこと、どのように受けとめておられますか?
なんまんだぶつ
また、お会いしましょう。