称名寺へようこそ

富山県小矢部市 真宗大谷派 称名寺のブログ

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100歳の背中

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今日はさわやかな青空で、家にいても、窓から心地よい風吹きこんでくるたびに幸せを感じられるような一日でした。

先週のことになりますが、ブログに載せる花の写真を探してお寺の敷地内をウロウロしていると、塀の向こうにご近所さんの後ろ姿が見えました。

その方には何十年もお寺の様々な仕事を手助けしていただいて、今でも「歳いってなーんもできんがになった」と口にされながらも、境内の落ち葉などを掃いてくださることがあります。

ありがとうを伝えるといつも同じ返事「自分で動いとるがでない、仏さんに動かいてもろとるがや」といって手を合わせられるのです。

その日も小さな椅子に腰かけて、ご自宅の草を一心に刈っておられました。その背中を見ていると、以前に教えていただいた言葉を思い出しました。


「たとえ明日世界が終わるとしても、私は今日リンゴの木を植える」


これはドイツの宗教改革者マルチン・ルターの言葉ですが、不安に打ちのめされずに目の前のことに打ち込みなさい、もっと自分の生活を大切にしなさいと私には響き、この言葉からどんなことがあっても命あるかぎり自分の人生を大切に生きるという静かな決意や希望を受け取りました。

100歳のはたらく背中を見つめながら、ささやかな日常を守るために目には見えないところでたくさんの支えがあることをあらためて考えさせられると同時に、いくつになっても自分のできることをもくもくとする姿に、生きる姿勢を教えていただいているように思いました。

その後ろ姿を写真に撮りたかったのですが、話しかけると近くで大きな声でのやりとりになってしまうので、この時期ですからそれは思いとどまり、代わりに近くに咲いている山吹をカメラに収めておきました。