称名寺へようこそ

富山県小矢部市 真宗大谷派 称名寺のブログ

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“お母さん”になった猫

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秋の日の青空に誘われて、砺波の夢の平スキー場へ出かけました。

「秋にスキー場?」と、きっと思われたことでしょうが…なんと夢の平スキー場のゲレンデは、秋になるとコスモスでいっぱいになるのです。

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ゲレンデから富山湾能登半島も見えて、胸がスッとするような美しい景色を眺めることができました。カップルや家族連れの方々が撮影をしたり、コスモス畑を散策したり、それぞれ思い思いの時間を過ごしています。コロナのことを心配せずに屋外で羽を伸ばせて、みんな秋の日の1日を楽しんでいるようでした。

このスキー場の隣山に、お寺の近くに住んでいた方が引っ越しされたので帰りに立ち寄ってみると、この春から耕し始めた畑を案内してもらえました。

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無農薬栽培の野菜たち、実が成ってくると虫も集まってくるそうですが、畝の一部を自由に食べさせてやると他のところには虫がつかないそうです。分け合うと豊かになる、大自然が教えてくれているように感じました。

畑に駆けてきた白黒の猫さんと雉猫のチビちゃん、自然の中で猫も生き生きと跳び跳ねて、とても美しい姿を見せてくれます。

この猫たち、てっきり親子かと思っていたのですが…

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チビ猫ちゃんは捨てられてたのを助けたそうで、先住の白黒の猫さんをすっかり頼りにしてお乳をチュッチュしているとのこと。お腹を見せてもらうと、たしかに吸っている所の毛並みの色が変わっています。

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あぁ、お母さん代りなんだなぁと思っていると、なんと白黒の猫さんはオス猫なのだそうで、お母さんかと思ったらお父さんでした!
頼る存在、甘える存在が必要な子猫のために、時にはお父さんのように、時にはお母さんのように見守っていることがわかり、助け合って生きている姿を愛しく思いました。

お寺に帰ってからも、この猫たちのこと思い出していたのですが、お父さんのようでもあり、お母さんのようでもあるという存在というところから、親鸞聖人のご和讃が思い起こされました。


救世観音大菩薩
聖徳皇と示現して
多多のごとくすてずして
阿摩のごとくにそいたもう


これは聖徳太子を讃えられたお歌なのですが、


救世観音菩薩
聖徳皇として現れて
お父さんのように見捨てずにいて
お母さんのように寄り添ってくださる


聖徳太子のことをお父さんやお母さんのように見守ってくださる方と親鸞聖人は慕っておられるのです。

親鸞聖人は幼い頃にお父さんやお母さんと別れられ、わずか9歳で比叡山へ上られました。きっと親鸞さまは心の中で、お父さんやお母さんのように慈しみ愛を注いでくれる存在を求められていたことでしょう。仏道を求められる親鸞さまは、仏さまや菩薩さまが聖徳太子となって、法然上人としてこの世に現れて、慈悲の心を示してくださっていると受けとめておられたのではないのでしょうか。

そう思ってみると、猫たちの姿も仏さま菩薩さまのお心を映し出している貴い姿なのかもしれません。